消費減税の給付では農家の減収は埋まらない[神戸市北区]神戸市会議員 堂下豊史
消費減税の給付を、売った額に足す案が出ています。
こんにちは、神戸市会議員の堂下豊史です。2026年8月26日の神戸新聞朝刊をもとに、農家の減収補填をご報告いたします。
売った額に足しても、肥料と燃料の負担はそのままです。
売った額に足しても、作る金は埋まらない
写真はイメージです
飲食料品の税が下がると、買う側の負担は軽くなります。作る側は、肥料も燃料も高いままです。
紙面は、売上高から影響額を簡易に計算して給付する、と伝えています。
売った額は、あとから出る数字です。先に払っているのは、肥料と燃料です。
神戸新聞が伝えた消費減税と農家の減収補填
見出しは「消費減税、農家の減収補填」です。
紙面は、政府が消費減税で減る農家の収入を、売上高に応じた給付で埋める方向で調整している、と伝えています。
店の5キロ袋と、北区で聞いた10万円
紙面は、円安で肥料と農薬が上がる、と書いています。
業界団体の試算では、2026年の玄米は60キロで2万535円かかる、とあります。
店の5キロ袋にすると、作るだけで約1,710円です(2万535円÷60キロ×5キロ)。
前年より3パーセント高い。売る値段が下がれば、残る金はもっと細くなります。
北区の生産者は、10アール作って米の売上が10万円から20万円、と話していました。
同じ話を5キロ袋にすると、1,000円から2,000円です。作る1,710円に、安いほうは届きません。
高いほうでも、残るのは約300円です。10アールの10万円は、売った額であって、残った金ではありません。
10アールは、サッカー場のおよそ7分の1です。
手元に10万円残そうとすれば、もっと広い田が要ります。例えば、サッカー場の半分です。
安い売値のまま広くしても、赤字が増えます。
店が安くなっても、肥料と燃料の負担はそのままです。
消費減税の給付は、売った額に金を足す話です。作る1,710円の穴は埋まりません。
集落営農の補助は、上限を150万円に上げた
2025年6月10日の本会議で、米騒動は食料供給の脆さを示した、と述べました。
北区の田は、集落で守っているところが少なくありません。
2025年9月11日の決算特別委員会で、公明党の岩佐けんや議員がこの点を質しました。
農業経営力向上支援事業の上限100万円では、大型の機械の更新に足りない、と求めました。
市は、支援の在り方を検討する、と答弁しました。
その後、公明党の求めを受け、2026年の予算で上限150万円が実現しました。
2025年度まで100万円でした。上限は50万円上がりました。
袋ひとつに残る約300円では、機械の更新はまだ遠い。
消費減税の給付は、売った額に足す話です。集落で田を守る金には届きません。
集落営農の上限を150万円に上げた経緯は、動画でもご覧いただけます。
市は「若干プラス」と説明した年がある
神戸市は2024年11月29日の経済港湾委員会で、10アール当たりの生産コストと概算払いを比べています。
10アールで約500キロ取れる前提で、その年は若干プラス、と説明していました。
2024年当時、概算払いが上がった年の単純比較です。
市は2025年6月3日の経済港湾委員会で、持続できる買取り価格と納得できる販売価格が両立しないと、担い手は確保しにくい、とも述べています。
給付は、その両立を一年分の金で埋める話になりやすい。
水呑百姓のままでは、次の人は来ない
昔の言葉に、水呑百姓があります。飲む水はあっても、手元に残るものがない、という意味です。
売った額に給付を足す案は、減収を早く埋める手続きとしては分かります。
売上の10万円と、袋に残る約300円は違います。
サッカー場の7分の1を耕しても、残る金がこの細さでは水呑百姓です。
紙面の別項目は、米の支援を作付面積ではなく収穫量などで差を付ける、という話です。
消費減税の給付とは別です。規模の小さい田が先に消えると、戻すのは難しい。
今年の補填ではなく、作る人を残す議論が要る
写真はイメージです
消費者が安い米を求める事情は、分かります。家計は、税と店頭の両方で押されています。
その事情を踏まえても、売った額に足すだけでは、作る金は埋まりません。
日本の食料を誰が作り続けるのか。肥料と燃料が先に上がるなかで、残る額をどう残すのか。
上限150万円は、機械を入れる入口です。袋に300円しか残らない田では、入口は開いたままになります。
消費減税の給付は、減収の穴埋めです。穴の形を変えないと、次の年も同じ穴が開きます。
作る人がいなくなれば、安い棚も続きません。骨太の議論は、そこからしか始まりません。
堂下豊史|神戸市会議員(神戸市北区)
神戸市北区を拠点に活動する神戸市会議員。
地域の声を市政に届けるため、議会活動や地域課題の解決に取り組んでいます。
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