避難所のトイレと更衣の備え[神戸市北区]神戸市会議員 堂下豊史
熊本の避難所をめぐる報道で、トイレの場所、更衣室、男女の視点の違いが課題として取り上げられていました。
避難所は、開設できればよい場所ではありません。トイレに行けるか。着替えられるか。周囲の目を気にせず過ごせるか。生活の細部が、避難者の健康と尊厳を左右します。
避難所で問われるのは生活の細部です
避難所では、食事や寝る場所に加えて、トイレ、更衣、授乳、休養、相談の場所が必要になります。トイレが生活スペースに近すぎる、男女の動線が分かれていない、更衣室がない。こうした課題は、我慢や不安を生みます。
避難生活が長引くほど、負担は積み重なります。衛生面が悪くなれば体調を崩す方も出ます。夜間の移動や人目の問題は、女性、子ども、高齢の方、障がいのある方にとって深刻です。
神戸市の避難所は小中学校などが中心です
神戸市は、避難所を「自宅に帰宅できない場合に、一定期間、避難生活をする場所」と説明し、小学校や中学校などを指定しています。
避難所の開設・運営は、市職員、施設管理者、地域の防災福祉コミュニティなどが協力して行います。神戸市は避難所開設・運営マニュアルや手順シートを作成し、市内すべての指定緊急避難場所・避難所に避難所開設キットを配備しています。
次は、体育館、教室、多目的室、トイレ、廊下、出入口をどう使うか。誰が最初に確認し、どの順番で空間を分けるか。訓練で確かめる段階です。
避難所運営に女性の視点を置く
神戸市会でも、女性の視点を取り入れた避難所運営は繰り返し取り上げられてきました。
2023年10月の決算特別委員会では、避難所リーダーへの女性の配置、男女のニーズの違いへの配慮、トイレ・授乳室・更衣室の確保が質疑されました。市は、男女別スペースや要援護者相談窓口への女性配置などをマニュアルに明記していると答弁しています。
2024年10月の決算特別委員会でも、プライバシーの欠如、男性中心の避難所運営、性被害などを踏まえ、女性視点の重要性が確認されています。
2025年7月には、神戸市防災会議に女性部会が設置されました。議論の予定項目には、男女共同参画の視点を反映した避難所開設・運営、備蓄物資への反映が入っています。
避難所トイレの備えを重ねる
神戸市は、まず避難所となる施設内トイレの活用を基本としています。その上で、断水や下水道の支障に備え、凝固剤型の仮設トイレ、公共下水道接続型の仮設トイレ、凝固剤の備蓄を進めています。
市の公式ページでは、公共下水道接続型の「災害時こまらんトイレ!」を市内58か所、290基整備しているとされています。凝固型仮設トイレは2026年4月1日現在で510基、凝固剤は合計134万800回分です。
避難所ごとにどこへ置くのか、誰が組み立てるのか、夜間の照明や動線をどう確保するのかを詰めなければ、使える備えになりません。
避難所を支えるトイレカー
公明新聞2026年6月10日付7面でも、神戸市が災害時のトイレ不足に備えてトイレカーを導入したことが紹介されました。平時は北区のKOBE里山自然共生センターで利用し、市内イベントでの活用も想定されています。
岩佐けんや議員は、2024年5月の一般質問で移動型バリアフリートイレトレーラーの導入を提案しました。9月の決算特別委員会で検討状況を確認し、2025年2月には男女別トイレ、オストメイト対応、多機能トイレ、垂直昇降機などの仕様を確認しています。
トイレカーは、1台ですべての避難所を支えるものではありません。施設内トイレ、凝固剤、仮設トイレ、公共下水道接続型トイレ、民間協定、広域支援を組み合わせる必要があります。
避難所環境は命を守った後の備えです
災害対応は、まず命を守ることから始まります。その後に、避難生活で体調を崩さないこと、尊厳を失わないこと、孤立しないことが続きます。
避難所のトイレや更衣室は、細かい話に見えるかもしれません。けれども、水分を控える、トイレを我慢する、着替えをあきらめる、相談できずに抱え込む。そうしたことが重なれば、避難生活そのものが健康を損なう原因になります。
神戸は阪神・淡路大震災を経験した都市です。その経験を、いまの避難所環境の更新につなげる責任があります。
公明党市議団の一員として、トイレカーの運用、仮設トイレの使いやすさ、女性視点の避難所運営の観点から、避難所を「開ける」段階から人が安心して過ごせる備えを進めます。
堂下豊史|神戸市会議員(神戸市北区)
神戸市北区を拠点に活動する神戸市会議員。
地域の声を市政に届けるため、議会活動や地域課題の解決に取り組んでいます。
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