加齢性難聴への補聴器助成、神戸市でも前へ[神戸市北区]神戸市会議員 堂下豊史
年齢を重ねる中で聞こえにくさが進むと、会話がおっくうになり、外出や地域活動から少しずつ距離ができます。
公明新聞電子版で紹介された京都市の取り組み、神戸市会の委員会質疑、兵庫県の補聴器活用調査結果などを参考に、神戸市の現状をご報告いたします。高齢期の聞こえを、地域の暮らしの身近な課題として考えます。
補聴器は、その人の暮らしを支える道具です。しかし、購入費は決して軽くありません。加齢性難聴では、自己負担が壁になります。
全国では、加齢性難聴者を対象に補聴器購入費を助成する自治体が出てきています。神戸市でも、この流れをただ眺めるのではなく、制度としてどう受け止めるかが問われています。
公明新聞 2026年8月7日付6面
加齢性難聴へ、京都市は10月から助成開始
公明新聞電子版では、京都市が2026年10月から、加齢性難聴者に補聴器購入費を一部助成する取り組みを始めると紹介されています。
京都市の公式情報でも、令和8年度から「聞こえの応援事業」を開始すると公表されています。目的は、補聴器の適切な使用を進め、介護予防、社会参加、認知症予防などにつなげることです。
助成額は、補聴器本体購入費の2分の1で、上限3万円。対象は65歳以上で、講座参加、協力医療機関での判断、対象販売店での購入と調整、介護予防活動への参加などが要件です。
助成は各地で広がっている
他の自治体でも、高齢者や加齢性難聴者を対象にした購入費助成が始まっています。年齢、所得、聴力、医師の判断、購入後の調整などを組み合わせながら、制度を設計しています。
制度の形は自治体ごとに違います。年齢、所得、聴力、医師の意見書、購入前申請、販売店での調整など、条件は一つではありません。加齢性難聴を個人の努力だけに任せず、自治体の制度で支えようとする動きが広がっています。
写真はイメージです
神戸市はまだ検討段階
神戸市には、加齢性難聴者を対象とした恒常的な補聴器購入助成制度はまだありません。
2025年9月の福祉環境委員会では、加齢性難聴者への補聴器購入助成を求める陳情が審査されました。質疑では、兵庫県が令和4〜5年度に実施した加齢性難聴者の補聴器活用調査も取り上げられました。
県調査では、補聴器使用前後の社会参加活動について、日数も意欲も「変化なし、現状維持」が最も多い結果でした。委員会では、この結果が、神戸市が購入助成に踏み切れない背景の一つとして扱われました。
同時に、補聴器と認知症予防の関係については国の研究結果を待つこと、自治体ごとに助成基準や金額にばらつきがあることも、慎重に考える理由として示されています。
補聴器と認知機能の関係は、効果があるとも、ないとも言い切れる段階ではありません。海外では、効果が確認されているケースもあれば、確認されていないケースもあります。支援の対象や始める時期を整理しながら、制度の形を考える必要があります。
2025年6月の福祉環境委員会でも、聞こえにくさが孤独・孤立、健康や認知状態に影響し得るとの認識は示されました。一方で、市全体では大きな話であり、全国や他都市を見ながら勉強すると答えています。
神戸市は、聞こえの課題を市政課題として認識しています。ただ、いまの時点で高齢者の加齢性難聴に対する市独自の恒常的な購入助成は始まっていません。ここから制度の議論を進める必要があります。
制度は購入費だけでは終わらない
補聴器助成は、単にお金を出す制度ではありません。
京都市は、講座、医療機関での判断、販売店での調整、介護予防活動への参加を組み合わせています。
補聴器は買えば終わりではなく、自分の聞こえに合わせて調整し、使い続けることが欠かせません。助成制度を考えるなら、医療、販売、地域活動、相談窓口をつなぐ設計が必要です。
神戸市会の議場で質問する堂下豊史
神戸市で次に問うこと
私は、加齢性難聴への補聴器助成を、認知症対策だけで閉じる話にはしたくありません。聞こえは、家族との会話、地域の集まり、買い物、通院、災害時の情報入手にも関わります。
神戸市は、あんしんすこやかセンターで加齢性難聴のリーフレットを配布し、聞こえのチェックシートで自身の状態を確認できるようにしています。早期発見の入口はあります。
公明党神戸市会議員団としても、予算要望で「補聴器助成の導入に向けた検討を行うこと」を求めてきました。
次は、相談につながった人が補聴器を必要としたとき、購入費や調整の負担をどう支えるかです。神戸市で必要な支援の形を、引き続き課題整理していきます。
堂下豊史|神戸市会議員(神戸市北区)
神戸市北区を拠点に活動する神戸市会議員。
地域の声を市政に届けるため、議会活動や地域課題の解決に取り組んでいます。
市政報告や地域の取り組みをLINEで配信しています。
