県立神戸特別支援学校の環境整備について ― 現場の課題と移転改築 ― [神戸市北区]神戸市会議員 堂下豊史
県立神戸特別支援学校の環境整備をめぐって
― 現場の実態から、移転改築と県・市の責任のあり方まで ―
昨年6月10日の神戸市会本会議において、県立神戸特別支援学校の環境整備について質問しました。
このテーマは、公明党神戸市会議員団として兵庫県に対して改善要望を続けてきた課題であり、あわせて大塚公彦兵庫県議会議員と実際に学校現場を見て感じた課題から提起したものです。
現場を見て感じた強い問題意識(質問の背景)
5月10日、県立神戸特別支援学校を視察しました。体育館には空調設備が整っておらず、敷地内には大きな高低差があり、バリアフリーの面でも多くの課題を抱えています。安全面・学習環境の両面において、老朽化の深刻さを強く実感しました。校長先生とも直接懇談し、日々の教育現場でのご苦労を伺いました。


その後、市立いぶき明生支援学校も視察しました。同じ特別支援学校でありながら、設備や学習環境には明確な差があり、県立神戸特別支援学校との環境格差を強く感じました。ここでも校長先生と意見交換を行い、環境整備の重要性を改めて認識しました。
こうした現場を見て感じた強い問題意識を踏まえ、まず老朽化した県立神戸特別支援学校への対応について質問しました。
老朽化した県立神戸特別支援学校への対応
昭和53年度に開校した県立神戸特別支援学校は、体育館の空調未整備やバリアフリーの不備などにより、安全面・学習環境に重大な支障が生じています。その結果、通学区域外の市立校に通わざるを得ない児童もおり、教育の公平性が損なわれている状況です。
これまで会派としても県に対して繰り返し改善要望を行ってきましたが、直近の兵庫県議会において公明党の大塚公彦議員の質問に対し、県から「教育環境の改善には移転改築で対応せざるを得ない」との認識が示されました。
県からは神戸市に対して土地提供に関する情報提供が求められていますが、無償提供など市の一方的な負担は避けるべきです。県の責任に基づく整備方針とスケジュールを早急に示し、市民や関係者に丁寧に説明するよう、県に働きかけるべきではないかと質しました。
これに対し教育長からは、県立神戸特別支援学校は昭和53年度に開校した施設であり、老朽化が進み、空調やバリアフリーの面で課題があるとの認識が示されました。その上で、神戸市としても、これまでも兵庫県に対して教育環境の改善を要望してきたことが説明されました。
あわせて兵庫県としては、教育環境の改善について移転建て替えによる対応をせざるを得ない状況であるとの認識を示していること、昨年5月には県教育委員会との意見交換を行い、移転建て替えに向けた適地確保について市からの情報提供を求められていることが明らかにされました。市有地を活用する場合の費用負担については、市長部局とも相談しながら、今後県と協議していく考えが示されました。
神戸新聞による報道と県の公式方針
こうした議会での質疑を受け、神戸新聞は、県立神戸特別支援学校をめぐる状況について次のように報じました。
兵庫県教育委員会は、県立神戸特別支援学校(神戸市北区大脇台)について、老朽化などのため移転する方針を固めた。移転先や時期などの詳細は未定という。
同校は1978年開校。神戸市北区内の知的障害と肢体不自由の児童生徒が通い、2025年4月時点では小学部から高等部まで計202人が在籍している。
校舎はエレベーターが上層階に通じていないほか、敷地内の高低差が最大で約15メートルあるなど、児童生徒の移動に課題がある。
改築も検討されたが、敷地が狭く仮設校舎を建てるのが難しいため移転を判断した。県教育委員会は神戸市教育委員会とも連携し、未利用校舎の活用などを検討する方針としている。
(神戸新聞報道より)
さらに、令和7年8月7日に開催された「令和7年度 兵庫県総合教育会議」の公式資料において、神戸特別支援学校の狭隘化・老朽化対策として「移転改築」が明記されました。これは方針検討ではなく、県として公式に位置づけられた記載であり、極めて重要な前進です。
以下に、令和7年8月7日に開催された「令和7年度 兵庫県総合教育会議」の公式資料のうち、神戸特別支援学校の移転改築が明記された該当箇所を画像で掲載します。

県立神戸特別支援学校の狭隘化・老朽化対策として「移転改築」が明記された箇所
県と市の役割分担は、このままでよいのか
一般質問では、県と市の役割分担のあり方について問題提起しました。
平成19年、兵庫県と神戸市との間で、特別支援学校の通学区域に関する覚書が締結され、市内エリアごとに県立・市立のいずれかの学校へ通学する仕組みが定められています。
しかし、この覚書の存在により、あたかも学校整備の責任まで県と市で分担しているかのような構図が生まれ、本来、設置義務を負う県立特別支援学校の整備について、優先順位が下がり、対応が遅れてきたのではないかという問題意識があります。
実際、神戸市が独自に分校整備を進める事例も生じており、制度と実態との間に乖離が生まれています。
このため、平成19年の覚書を見直し、県と市それぞれの役割分担や財政負担を、改めて明確にすべきではないかと質しました。
これに対し教育長からは、特別支援学校については学校教育法上、その設置義務は都道府県にあることが示されました。一方で、政令市である神戸市は、法制度以前から市立特別支援学校を設置してきた経緯があり、平成19年の制度改正時に、県との間で通学区域に関する覚書を締結してきたことが説明されました。
しかし、当時と比べ、障害のある児童・生徒を取り巻く環境や、保護者の意識は大きく変化していることから、教育委員会としても、通学区域や役割分担について、再検討が必要な時期に来ているとの認識が示されました。
また、本年5月の兵庫県との意見交換においても、特別支援学校の設置義務が県にあることを踏まえ、問題意識を伝えてきたことが明らかにされました。その上で、今後は、財政負担の在り方も含め、市長部局と連携しながら、引き続き県と協議していく考えが示されました。
市立特別支援学校の過密化と改修負担
一般質問ではさらに、市立特別支援学校の現状についても取り上げました。青陽須磨支援学校や灘さくら支援学校をはじめ、市立特別支援学校では過密化が進み、特別教室を普通教室に転用するなど、教育環境への影響が生じています。
今後も児童・生徒数の増加が見込まれる中、新設だけでなく既存校の改修が中心となることを踏まえ、改修費用の県・市の負担整理を進めるべきではないかと指摘しました。
これに対し教育長からは、市立特別支援学校では児童・生徒の増加に対応するため、教育活動に影響を及ぼさない範囲で必要な改修を行ってきたこと、今後については財政負担の在り方も含め、市長部局とも相談しながら県と十分に協議していくとの答弁が示されました。
おわりに ― 子どもたちの学ぶ環境を守るために
特別支援学校の環境整備は、「どの自治体がどこまで責任を持つのか」という制度の問題と、今まさに目の前で学んでいる子どもたちの教育環境という現実の両方を見据える必要があります。
現場を見て、声を聞いたからこそ、これ以上先送りはできないと強く感じています。
- 県の責任の明確化
- 市の過度な負担の回避
- 子どもと保護者にとって安心できる教育環境の整備
この3点を軸に、引き続き粘り強く取り組んでいきます。
一般質問の様子(YouTube)
本会議での一般質問の様子については、後日YouTubeにて公開予定です。公開次第、あらためてお知らせいたします。
